へんしん不要
餅井アンナ
定価 本体1400円+税
B6版変型・152ページ
装丁 惣田紗希
装画 のむらあい
ISBN978-4-907053-43-7
注目のライター餅井アンナ、初の単著いよいよ発売!タバブックスのウェブサイト「マガジンtb」の連載が本になりました。
心も体も防御力低め、四季折々の不調にやられ、落ち込みがちな日々をつづり、宛先のない手紙を書き続けた二年間。書くことで見つけた、あたらしい景色と生きる自信。不安な時代に向き合う姿勢に、希望を感じる1冊です。
「こんにちは、調子はどうですか。挨拶代わりに「元気ですか」と聞かれると、ちょっと言葉に詰まってしまう。私はもうずっとそんな感じです。
だから、ここでは元気の有無は聞かないことにします。元気があってもなくても、調子が良くても悪くても、あなたがこのお便りを読んでくれていることが嬉しい。
今お便りを開いているそこは、どんな場所ですか? どこであっても、そこが居心地の良い場所であったらいいなと思います。」
目次
「元気?」と聞かれるとちょっと困る
就活を頑張るあの子は偉い、就活を頑張らなかった私も偉い
感情がでかすぎる
ただ粛々と生きるのがどうしてこんなに難しいのか
「おいしい」と思うことの恥ずかしさについて
仕事は一日二時間にしました
「元気に」よりも「うまく」暮らしたい
何にもできない、何でもできる
現実は自分ひとりの手に余る
きつい現実、つらい感情、しんどいSNSに倒れないために
この夜をどうにかやり過ごすだけの「大丈夫」を
ゲームの下手さは人生の下手さ
何度でも仕切り直せばいい
ちょっとだけ欲が出てきた
春とは周回遅れくらいの距離感でいたい
なんでもない日にホテルに泊まる
梅雨は自力では越せないから「せっかく」の波に乗る
静かな暮らしを求めて
「自分のことがどうでもよくなるムーブ」に押し流されない
いつか私も天竺に行けますか
つらいだけの秋じゃなかった
賽の河原で「調子」という名の石を積む
浅瀬に足をひたしてみる
自分ではない「誰か」になる力
追伸 自分の「庭」を持ち続けること
餅井アンナ
1993年宮城県生まれ。ライター。食べること、性、ままならない生活についての文章を中心に書いています。連載に「妄想食堂」(wezzy)、自主制作冊子に『食に淫する』『明け方の空腹』など。『へんしん不要』が初の単著となる。